研究概要 |
本研究は、抗原提示細胞である樹状細胞のアポプトーシスを抑制することによりその免疫活性を持続させることにある。アポプトーシスは多数の経路を経るが、今回はcaspase群およびBcl-2 family群に注目した。得られた成果として、血液単球由来樹状細胞(monocyte-derived dendritic cells, MoDC)を通常の樹状細胞療法で用いるのと同条件、すなわち自己血漿および無血清培地を用いて末梢血CD14陽性細胞からGM-CSFおよびIL-4の存在下で誘導し、IL-1beta, IL6,TNF-alpha, PGE2を加えて刺激・成熟させた後の自然経過によるアポプトーシスの程度とそれに関与するcaspase群の発現を解析した。細胞のviabilityは、刺激2日後までは90%以上であったが、3-4日後には60-70%と低下し、さらに5日後には50%となった。アポプトーシス陽性細胞についてみると、刺激後4日までは陽性細胞は10%以下であったが、刺激後6-8日では約70%と著明に増加した。刺激後の樹状細胞の活性化を検討したところ、刺激後2日目からCD86およびHLA-DR抗原の発現増強がみられた。刺激後6日以降は、同抗原を強く発現しているグループと発現の現弱したグループの2つにわかれ、刺激後の時間が長くなるにつれて後者の割合が増加した。このアポプトーシスにおいて関与するcaspase群の相対活性を測定したところ、caspase-2,-3,-7,-8のうちでcaspase-2のみが刺激後5日目から有意に増加した。また、MoDCに対しsiRNAをin vitroで導入する方法について、GAPDHのsiRNAを用いて導入後のMoDCのGAPDH酵素活性を測定することにより検討した。Lipofbction法では、Lipofbctamine 2000(R)を用いた場合が最もよく、最大44%のGAPDR siRNAの抑制効果が得られた。また、electrophoration法では最大70%の抑制効果が認められた。
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