表皮特異的ケモカイン過剰発現マウス(Tgマウス)に関しては、2種類のマウス、すなわちTARC(CCL17)TgマウスとCTACK(CCL27)Tgマウスの作成を終えている。また、TARC Tgマウスに関しては、(1)導入遺伝子が蛋白レベルで機能していることの確認(2)マウスの形質の解析と(3)マウスの各種刺激に対する反応性の解析を終えている。また、CTACK Tgマウスについては(1)の確認を終えている。そこで、本年度はCTACK Tgマウスについて、(2)と(3)の解析を行なった。 CTACK Tgマウスにおける(2)形質の解析では、臨床像や皮膚組織所見でnon-Tgマウスと比べて明らかな違いはみられなかった。(3)各種刺激に対する反応性の解析では、オキサゾロン(OX)とFITCによる接触過敏反応(CHS)(単回惹起のacute CHSと繰返し惹起のchronic CHS)を行うと、TgマウスではFITC chronic CHSによる耳介腫脹が増強した。このとき惹起した皮膚に浸潤する炎症細胞数、肥満細胞数、CCR10陽性細胞数はTgマウスで増加した。また、Tgマウスでは耳介皮膚のIL-4 mRNA発現が増強し、IFN-γ mRNA発現が減弱した。末梢血中IgE濃度もTgマウスで有意に増加した。CTACKはそれのみでは炎症を引き起こさないが、一旦炎症が起こると、CLA陽性メモリ-T細胞、形質細胞などのCCR10陽性細胞を遊走させ、炎症を修飾すると考えられた。その際、肥満細胞数、IgE濃度の増加といったアトピー性皮膚炎に似た病態がみられ、アトピー性皮膚炎の病態にCTACKが関与していることが示唆された。
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