尋常性乾癬(Pso)は皮膚科疾患における代表的な慢性炎症性疾患であり、家族内集積性が認められることから遺伝的背景の存在が示唆されているが、原因遺伝子の解明には至っておらず、病因は不明のままである。しかしながら、PsoにおいてはいわゆるTh1型優位なT細胞の機能異常に関する報告が過去に多く、また結節性硬化症やクローン病等の他の自己免疫性疾患の合併があることから、発症の誘因にT細胞を介する自己免疫異常が関与するとする見解がある。そこでpsoにおけるCD4^+CD25^+制御性T細胞の機能を詳しく調べ、本疾患における制御性T細胞の機能異常が自己反応性T細胞の活性化を促し、病態を作り上げている可能性について検討を加えた。 平成17年度で報告した研究成果をさらに深く検証するため、in viroの系において細胞交叉実験を行った。すなわち、健常群の末梢血CD4^+CD25^+制御性T(Treg)細胞と患者由来のCD4^+CD25^-T(Tresp)細胞を、他方患者群のTregと健常群のTresp細胞をそれぞれ1:1の割合でallogeneicな抗原提示細胞と共培養行ったところ、健常群のTregは患者由来のTrespの^3H取込を強く抑制したにもかかわらず、患者群のTregの抑制能力はそれを大きく下回る結果であった。したがってこれまでの結果を総合し、乾癬患者においてはTregそれ自体に機能的な減弱があることが証明された。 また、今回我々は乾癬患者の炎症局所、すなわち皮疹部に存在するTregの調製にも成功し実験を行うことができた。生検皮膚を酵素処理した後に抗CD25磁気ビーズを用いて得られたTregの機能解析を行ったところ、患者末梢血Tregを用いた際に得られた結果と同様に、炎症局所に存在するTregもautologousなTrespの増殖反応を抑制する機能が減弱していることが^3H取込実験によって証明された。
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