天疱瘡(PV)はデスモソーム構成分子であるデスモグレイン(Dsg)に対する自己抗体による自己免疫性水疱症である。 これまでにわれわれは、天疱瘡患者由来IgG(PV-IgG)を用いてDsg3のリン酸化や細胞内のキナーゼの活性化が起きることを報告してきた。今回我々は、さまざまな病原活性を持つ抗Dsg3モノクロナール抗体(AK抗体シリーズ)による細胞内シグナル伝達経路の解析を行った。病原性の強いAK23抗体は、PV-IgGと同様にDsg3のセリンリン酸化およびp38のリン酸化を誘導した。次に結合エピトープが違い病原性の強さも違うAK抗体Dsg3の細胞内ドメインに結合するp120ctnの結合性およびリン酸化の程度を検討したところ、エピトープが違うAK抗体は、p120ctnを様々な程度にリン酸化し、また結合性にも異なる影響を与えた。Dsg3に特異的に結合するモノクロナール抗体が細胞内シグナル伝達系を活性化したことより、これまで報告されてきたPV-IgGによる細胞内シグナル伝達系の活性化は抗Dsg3抗体に由来すると考えられる。
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