研究課題
本研究では、天疱瘡患者皮膚で生じている抗Dsg3抗体由来シグナル伝達系の解析をすることが目的である。さまざまな病原性をもつ抗Dsg3 mAb4種を用いて、Dsg3結合後に生じるDsg3とp120-catenin(p120-ctn)の結合性とDsg3結合型p120-ctnのリン酸化反応を解析した。4種類のAkmAbは、すべてDsg3結合型pl20-ctnのチロシンリン酸化を亢進したが、リン酸化を受けたDsg3結合型p120-ctnの分子量が各抗体間で異なっていた。抗Dsg3mAbの病原性は強い順にAK23,19,18,20であるが、病原性の強い23,19に対して病原性の低い18,20はDsg3に結合するp120-ctnの量が多く、リン酸化していることがわかった。もっともチロシンリン酸化を誘導したAK18によるDsg3結合型p120-ctnのリン酸化はGenestein(チロシンキナーゼ阻害剤)とPP1(Srcキナーゼ阻害剤)でDsg3結合型pl20-ctnを阻害した。Dsg3結合型pl20-ctnのリン酸化の程度と抗体の結合したDsg3の分解速度には明確な差を検出できていない。これらの研究成果より抗Dsg3抗体がDsg3に結合後にDsg3結合型p120-ctnのチロシン残基をリン酸化するキナーゼ反応を活性化するという新しいシグナル伝達経路を見いだした。今後、これらのリン酸化反応と水疱形成との関連性を確実に証明し、水疱形成を阻害する方法を見いだす予定である。
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