本研究では、天疱瘡患者IgGによって生じる反応の中で、特に抗Dsg3抗体による反応を解析する目的で、抗Dsg3モノクロナル抗体(mAb)を用いて培養細胞を刺激したとき、Dsg3のリン酸化やDsg3の分解消失が生じるかどうか、また、細胞内シグナル伝達機構が活性化するかどうかを確認した。Dsg3mAbはDsg3のリン酸化と分解、p38のリン酸化を誘導した。デスモグレイン3の細胞外ドメインに結合する抗体は、細胞内シグナル伝達機構を活性化することが確実である。 次にDsg3の分解を誘導するシグナル伝達経路を解析する手がかりとなるDsg3に関連したキナーゼ、キナーゼの基質を同定するために、Srcキナーゼの基質であり、クラシカルカドヘリンの細胞内ドメインに結合し、その発現を調節しているp120-cateninに注目して、Dsg3との結合と、Dsg3に対する機能を解析した。p120-cateninはDsg3の細胞内ドメインに間接的に結合した。Dsg3の細胞膜表面上での安定化に関与している可能性があることを解明した。
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