研究概要 |
がんを含めた種々の疾患形成と関連し、疾患形成過程を検討する上で重要だと考えられているTreg細胞や胸腺外分化型γδT細胞が、どのように神経組織とのネットワークを形成するかを検討するためには、CD25,CTLA-4,GITR,foxp3など以前から知られているTreg細胞優位分子の他に、CD225やEDG1など、サブトラクション法にて我々が同定したヒトおよびマウスTreg細胞やγδT細胞に発現する新規細胞表面8分子に対するポリクローン抗体や単クローン抗体を作製し、それを用いた抑制性細胞の詳細な動態検出システムを構築する必要がある。そこで、今年度はそれら新規8分子の細胞外領域に特異的な抗体の作製を行った。 1)ヒトTreg細胞およびマウス胸腺外分化型γδT細胞から目的遺伝子のクローニング B6ヌードマウスより、抗γδTCRmAbを用いて胸腺外分化型γδT細胞分離した。CD4陽性CD25強陽性のヒトTreg細胞をビーズを用いた分離法で分離した。それぞれの細胞からcDNAプールを作製し、目的遺伝子を特異的プライモーを用いたPCR法により増幅させ、増幅サンプルを精製後pRc/CMVベクターに組み込みDH5αを用いて大腸菌によるクローニングを行った。 2)目的遺伝子導入動物細胞株の作製 1)でクローニングしたそれぞれの目的遺伝子と発現確認用CD271遺伝子を含むpRc/CMVベクターを作製し、L929細胞にリポフェクション法で導入した。それぞれの目的遺伝子の発現は、CD271のフローサイトメトリーによる解析で確認し、CD271を用いたセレクション法により長期にわたり目的遺伝子を安定に発現させる細胞株を樹立した。 3)ヒトTreg細胞およびマウス胸腺外分化型γδT細胞に発現する細胞表面分子に特異的なポリクローン抗体および単クローン抗体の作製 ヒトTreg細胞表面分子であればBALB/cマウスを用いて、またマウスγδT細胞表面分子に関してはハムスターを用いてそれぞれの分子に特異的なポリクローン抗体及を作製し、その免疫動物脾細胞とミエローマの融合により単クローン抗体の作製を行った。免疫法は2週間おきに三回、1)で作製した目的遺伝子挿入プラスミドの腹部と尾の皮下への投与によるDNA免疫を行い、最終DNA免疫から2週間後に2)で作製した目的遺伝子導入L929細胞株の腹腔内投与する方法を用いた。最終の投与から3?5日後の血清を目的遺伝子特異的ポリクローン抗体精製に、脾臓を単クローン抗体作製に用いた。
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