研究概要 |
薬剤過敏症候群(Drug-induced hypersensitivity syndrome;DIHS)患者抹消血からの薬剤反応性T細胞の樹立 カルバマゼピンによるDIHS患者2名およびトリベノシドによるDIHS患者1名の末梢血を採取し,薬剤の添加培養および希釈法を用いて,各々8,10,10の計28個の細胞株を樹立した。樹立した細胞株は,しかしながら極めて薬剤刺激による増殖反応が乏しく,刺激指数で1.5-4程度であった。他の臨床型の薬疹患者において樹立した薬剤反応性T細胞の薬剤刺激による増殖反応は,5-20程度と高値を示すことから,本症に関与するT細胞は,最初から薬剤刺激に低反応性であることが示唆される。これは,通常の薬疹と比べ,内服開始から発症までの時間経過が長いというDIHSの臨床的特徴を反映している可能性がある。今後,これらの薬剤反応性T細胞の特徴について解析する予定である。 DIHSにおけるヘルペスウィルス活性化機構の解明 DIHSではヘルペスウィルスの再活性化が生じ,その病態に関与している。Alloの末梢血単核細胞を共培養すると,単球内に潜伏するヘルペスウィルスが再活性化することが知られている。我々は,ある薬剤は,MHCに強固に結合してあたかもalloのMHCと同様に振る舞うために,骨髄移植患者と同様な機序によって単球内に潜伏するヘルペスウィルスを活性化させているのではないかと仮説し,DIHS患者の末梢血単核細胞から多数の単球を調整し,患者またはalloのリンパ球とともに,薬剤添加および無添加で,単球の形態が変化するかどうかを検討した。その結果,患者単球と患者のリンパ球と共に薬剤を添加した場合に,alloで共培養したと同様に単球にcytopathic effectを認めた。薬剤を添加しない場合には,組織球様に分化した。より精度の高い分子生物学的な検討を今後行なう予定である。
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