平成17年度におこなった実験内容と、その結果は以下のとおりである。 健康人由来の、すなわち野生型のケラチン9(以下、正常ケラチン9と略す)と、患者由来の、すなわちアミノ酸の置換を生ずるような点突然変異を持つ変異型のケラチン9(以下、変異ケラチン9と略す)を比較して、1塩基の違いのある部分の前後を制限酵素で切りだして、変異ケラチン9を持つ組み換え体を作製した。作製された組み換え体は5'側から順にサイトメガロウィルスプロモーター、変異ケラチン9の一部、螢光蛋白、ポリAシグナルである。また、前述の変異ケラチン9cDNA断片の3'側に人工的にストップコドンを導入したcDNA断片を作製し、同じコンストラクトで組み換えDNA体を作製した。組み換え体を含まないベクターDNA、すなわちサイトメガロウィルスプロモーター、螢光蛋白、ポリAシグナルの順にコンストラクトされた発現ベクターDNAを用いて、線維芽細胞をトランスフェクションにより形質転換し、コントロール細胞を作製した。これらの組み換え体が正しく作製されたか否かは、制限酵素地図を作製することにより検証した。また、組み換え体DNAを持つ線維芽細胞は正しく螢光を発していることを螢光顕微鏡で観察することにより確認した。また形質転換効率も、おおむね満足できるものであった。 このように平成17年度の研究計画は、おおむね順調に達成され、平成18年度には更なる進展がみこまれている。
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