色素性乾皮症(XP)の診断には、光線過敏症の診断、相補群の決定、責任遺伝子の同定の3過程が必要であるが、このうち、予後を予測する上で最も重要な検査は相補群の決定である。XP相補群の診断には各相補群由来細胞のセットと細胞融合技術が必要であり、限られた施設でのみ行われている。日本のXP患者の約50%はXP-Aであるが、約50%は非A群であり、相補群の診断が必要である。迅速で正確な相補群の決定と変異部位の同定は、両親、家族への生活指導と神経症状の重症度を含めた予後の説明に必須である。このため、多施設で簡便に検査、診断が行えるシステムの確立が求められている。本研究は、各群のXP遺伝子を発現する組み換えアデノウイルスのセットを作製し、患者由来細胞にウイルスを感染させ紫外線照を行うだけで短時間に容易に相補群を決定できるシステムを確立するものである。 初年度は、各相補群の野生型XP cDNAのクローニングを行う。正常線維芽細胞よりRNAを精製し、RT-PCRを用いてXP遺伝子の各cDNAをクローニングする。現在、XP-A、XP-B、XP-C、XP-D、XP-E、XP-F、XP-Gの各cDNAをクローニングし、A、B、C、D群の各cDNAは塩基配列を確認し、組み換えアデノウイルスの作製を行っている。
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