研究課題
色素性乾皮症(XP)の診断には、光線過敏症の診断、相補群の決定、責任遺伝子の変異同定の3過程が必要であるが、このうち、予後を予測する上で最も重要な検査は相補群の決定である。XP相補群の診断には各相補群由来細胞のセットと細胞融合技術が必要であり、限られた施設でのみ行われている。迅速で正確な相補群の決定と変異部位の同定は、両親、家族への生活指導と神経症状の重症度を含めた予後予測に必須である。このため、多施設で簡便に検査、診断が行えるシステムの確立が求められている。われわれは、各群のXP遺伝子を発現する組み換えアデノウイルスのセットを作製し、患者由来細胞にウイルスを感染させ紫外線照を行うだけで短時間に容易に相補群を決定できるシステムの確立を行った。8相補群のうち、A、B、C、D、E、Fの6相補群のcDNAをクローニングし全長をシークエンスしてコード領域に変異がないことを確認した。これらのうち、XP-A、XP-C、XP-Dをそれぞれ発現する組み換えアデノウイルスAd-XP-A、Ad-XP-C、Ad-XP-Dを作製した。XP-A遺伝子に異なる変異を有する3株のXP-A患者由来線維芽細胞に、Ad-XP-A、Ad-XP-C、Ad-XP-Dを感染させ、UVB照射実験を行ったところAd-XP-A感染細胞のみUVB照射後の細胞死が抑制された。以上より、アデノウイルスベクターを用いた色素性乾燥皮症の迅速な遺伝子診断が可能であり、少なくともXP-Aの迅速な遺伝子診断が可能となった。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (6件) 図書 (4件)
Cancer Science (in press).
BBA-Molecular and Cell Biology of Lipids (in press).
(in press).
J Dermatol Science 43(2)
ページ: 135-141
Carcinogenesis 27(1)
ページ: 53-63.
Brit J Dermatol 155(2)
ページ: 484-487