研究概要 |
アトピー性皮膚炎モデルマウスであるNC/Ngaマウスに、Th1型炎症反応を惹起する非メチル化CpGモチーフを含むoligodeoxynucleotide(CpG ODN)を投与し、皮疹発症抑制効果の有無を観察した。さらに、それによるサイトカイン産生能の変化をみた。 1 方法 7週齢のNC/NgaマウスにCpGODNまたはcontrol ODNを15週齢まで隔週計5回,50μgずつ腹腔内投与した。対照としてBALB/cマウスを使用した。これらのマウスの皮疹を観察し、スコア化した。7週齢と15週齢で採血し、血清IgE値をELISAキットを用いて測定した。脾細胞と頚部リンパ節細胞をConAで刺激し、48時間培養したのち、それらの培養醸成中のサイトカインを測定した。 2 結果 15週齢における皮疹の発症率は非投与群で73%、CpGODN投与群で39%と、CpGODNの投与により抑制された。スキンスコアの平均値もCpGODN投与群で有意に低下した。しかし、CpGODN投与群のうち皮疹を発症したマウスではスキンスコアの平均値は高かった。血清IgE値は皮疹の有無にかかわらずCpGODNの投与により抑制された。サイトカイン産生能はCpGODN投与群でIFN-γ産生増加、IL-4,IL-5,IL-13産生能の低下を認めた。CpGODN投与群のうち、アトピー性皮膚炎を発症したマウスでは発症しないマウスに比較して有意にIFN-γ産生の増加がみられた。これらは、脾細胞とリンパ節細胞で差がみられなかった。 3 考察 CpGODN投与によりTh2反応を抑制したにもかかわらず、一部に皮疹の増悪をみたマウスが存在したことは、Th2反応の抑制のみでは皮疹の発症抑制が不十分であることを示すものと考えられた。
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