研究概要 |
アトピ一性皮膚炎モデルマウスであるNC/Ngaマウスに、Th1型炎症反応を惹起する非メチル化CpGモチーフを含むoligodeoxynucleotide (CpG ODN)を投与し、皮疹発症抑制効果の有無を観察した。さらに、それによるサイトカイン産生能の変化をみた。これまでに腹腔投与を行った結果を報告しており、本年度は外用剤としてCpG ODNを皮膚炎部に塗布し、その効果をみた。 1方法 7週齢のNC/NgaマウスにCpG ODNまたはcontrol ODNを15週齢まで隔週計5回,50μgずつ背部皮膚に塗布した。対照としてBALB/cマウスを使用した。これらのマウスの皮疹を観察し、スコア化した。7週齢と15週齢で採血し、血清IgE値をELISAキットを用いて測定した。脾細胞と頚部リンパ節細胞をConAで刺激し、48時間培養したのち、それらの培養醸成中のサイトカインを測定した。他のアトピー性皮膚炎モデルマウスであるDS-Nhマウスを用いてCpG ODNの抑制効果をみるべく、その前段階として皮膚炎の発症促進実験を行った。 2結果 15週齢における皮疹の発症率は非投与群にくらべて、CpG ODN外用群で低く、CpG ODNの投与により抑制された。スキンスコアの平均値もCpG ODN外用群で低下した。しかし、腹腔内投与の結果と比較してCpG ODN投与による効果は低く統計的に有意差がでるに至らなかった。血清IgE値はCpG ODN外用群とコントロール群で差がみられなかった。サイトカイン産生能はCpG ODN外用群でIFN一γ産生増加、IL-4,IL-5,IL-13産生能の低下傾向を認めた。DS-Nhマウスは通常環境下では皮疹の発症は微弱であるが、光触媒の塗布やトリブチルスズの経口負荷で皮疹の増悪を認めた。 3考察 CpG ODN外用は腹腔内投与に比較してアトピー性皮膚炎に対する効果が弱かった。今後は、経皮吸収、外用剤の安定性、投与量などの見当が必要と思われた。
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