研究課題/領域番号 |
17591181
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
村上 孝 自治医科大学, 医学部, 講師 (00326852)
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研究分担者 |
小林 英司 自治医科大学, 医学部, 教授 (00245044)
大槻 マミ太郎 自治医科大学, 医学部, 教授 (90185330)
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キーワード | メラノーマ / 腫瘍免疫 / ワクチン / interferon-λ |
研究概要 |
メラノーマに対する免疫療法を効果的に行なう上で腫瘍部位周辺での免疫反応を惹起するサイトカインの供給は重要な要素である。本年度では、新規サイトカインInterreron(IFN)-λ/IL-28の局所投与効果を明らかにした。IFN-λ受容体はマウスB16細胞を含む複数の腫瘍細胞株で発現し、これらの細胞にIFN-λ cDNAを強制発現させると細胞周期のG1/S移行を阻害し、caspase-3/7活性の上昇をきたしアポトーシスを誘導することが判明した。また、マウス個体内でのIFN-λ抗腫瘍効果の発現には、各種除去抗体を用いた腫瘍増殖回復実験から、NK細胞が必要であることが判った。転移性肝癌モデルに対しては、IFN-λ cDNAをHydrodynamics法により静脈投与すると、有意な抗腫瘍効果を観察することができた。肝環流リンパ球を分析した結果では、CD3^-NK1.1^+およびCD3^+NK1.1^+細胞集団が増加し、また抗asialo GM_1抗体によりNK細胞を除去したマウスではIFN-λに依存的した抗腫瘍効果は得られない。したがって、IFN-λによる抗腫瘍効果にはNK細胞-NKT細胞の存在が必要であり、これらの活性化を介して腫瘍を排除することが示唆された。 また、がん免疫療法における抗がん薬の併用は、がんに対して誘導された特異的なCTLを抑制してしまう可能性から積極的に取り入れられてこなかった。しかし、がん細胞自身も多くの遺伝子異常が蓄積されており、宿主免疫の攻撃に対してがん自身が回避できる機構が存在する。最近注目されている抗がん薬の一つであるピストン脱アセチル化阻害剤は、がん細胞選択的に異常な転写抑制を改善することができる。これを応用し、アポトーシス抵抗性のある示すメラノーマ細胞の免疫学的な感受性を回復させることにin vitroで成功したため、現在動物実験での成否について検討を進めている。
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