研究概要 |
IgEはFcεRIを介して肥満細胞を活性化、即時型反応(immediate-type hypersensitivity response : ITR)を誘導することにより、様々なアレルギー性疾患を悪化させる。しかし我々は、マウス足蹠にハプテンを塗布する事により誘導されるITRは、IgE非依存性に認められることを確認している。そこで本研究では、IgEがこの様なITRの誘導に対してどの様な役割を果たすのかを明らかにする事を目的として検討を行った。 1,ハプテンを繰り返し足蹠に塗布することにより認められるITRは、塗布開始7〜14日をピークとし以降漸減するのに対し、血清IgEレベル・肥満細胞数・IgE陽性肥満細胞数は経日で増加する傾向が確認された。また、血清IgEレベル上昇のない初回塗布時(感作時)においても著明なITRが認められた。これらの結果から、足蹄にハプテンを塗布することにより認められるITRはIgE非依存性であるだけでなく、IgEによって抑制される可能性が示唆された。 2,IgEによるITR抑制を確認するために、TNP特異的IgEを遺伝的に発現するTNP-IgEトランスジェニックマウスを用いた検討を行った。このマウスの足蹠にハプテンを塗布すると、耳翼塗布で認められる著明なITRとは対称的に、その反応は抑制されていた。 3,さらにIgEを遺伝的に欠損するμ^<-/->マウスを用いて同様の検討を行った。μ^<-/->マウスの足蹠にハプテンを繰り返し塗布すると、コントロール群に比較して著明なITRが確認された。 4,肥満細胞を欠損するW/W^vマウス足蹠へのハプテン塗布では、初回塗布時に認められるITRが抑制され、足蹠で認められるITRは肥満細胞の活性化によって生じていることが確認された。 以上より、ハプテン塗布により足蹠で生ずる肥満細胞の活性化は、IgEにより抑制されていると考えられた。
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