ダリエ病(DD)とヘイリーヘイリー病(HHD)の遺伝子として1999年と2000年に各々ことなった細胞内カルシウムポンプをコードする遺伝子の変異が同定された(DD遺伝子はATP2A2、HHD遺伝子はATP2C1)。 平成17年度の研究。 1)ATP2C1プロモーターとYY-1あるいはSP-1を同時に遺伝子導入すると、ATP2C1プロモーター活性が上昇することが明らかとなった。 2)ATP2C1の転写因子であるSP-1自体も細胞内カルシウムの上昇により発現が亢進することが明らかとなった。 3)HHD細胞では、細胞内カルシウム濃度が恒常的に上昇しており、細胞外カルシウムを低から高にスイッチしても細胞内カルシウム濃度は上昇せず、従ってSP-1の発現上昇とATP2C1プロモーター活性上昇が惹起されないことが明らかとなった。 平成18年度の研究。 1)DD遺伝子ATP2A2のプロモーターにつき、+50から-1200まで解析を行った。その結果、-550/-528、-488/-471、-390/-361そして-42/-20の領域にプロモーターが存在することが判明した。 2)-550/-529と-488/-472の領域に、Sp1が結合すること、Sp3は結合しないことがゲルシフトアッセイ法により明らかになった。 3)正常表皮角化細胞においてSiRNA法にてSp1を抑制したところ、sp1タンパクの減少とATP2A2発現量の低下が見られた。 4)Sp1は表皮角化細胞の分化と増殖に深く関与しており、本転写因子の調節によるDDとHHD治療法開発の可能性が考えられた。
|