研究課題/領域番号 |
17591192
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
久住 一郎 北海道大学, 大学病院, 講師 (30250426)
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研究分担者 |
鈴木 克治 北海道大学, 大学病院, 助手 (70344512)
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キーワード | 双極性障害 / 小胞体 / Ca-ATPaseポンプ / タプシガルギン / プロテインキナーゼC / カルモジュリン / カルシウム・ホメオスタシス / 血小板 |
研究概要 |
双極性障害の病態に細胞内カルシウム(Ca)ホメオスタシスの異常が想定され、その背景に、プロテインキナーゼC (PKC)系やカルモジュリン(CaM)系の調節障害が関連している可能性がある。われわれは、Caホメオスタシスにおける小胞体Ca-ATPaseポンプ(SERCA)の役割を検討する目的で、健常成人血小板を用いて、SERCA抑制剤タブシガルギン(TG)によって誘発される一過性細胞内Ca濃度増加反応と、その後の細胞外Ca追加によって誘発される容量性Ca流入反応を測定し、PKC系あるいはCaM系調整剤の影響を検討した。健常者血小板において、PKC系とCaM系は、一過性Ca増加反応と容量性Ca流入反応に対して、それぞれ相補的な調節作用を有することが明らかとなった。 次に、双極性障害、大うつ病性障害、健常者の3群で、TGによる一過性Ca増加反応と容量性Ca流入反応を比較したが、有意な差は認められなかった。しかしながら、PKC系刺激による容量性Ca流入反応の抑制効果は、大うつ病性障害や健常群に比較して、双極性障害群において有意に増加し、逆に、PKC系抑制による容量性Ca流入反応の促進効果は有意に低下していることが示唆された。このことは、双極性障害においてPKC系亢進が病態として存在し、容量性Ca流入反応の抑制効果を増強している可能性が考えられる。今回の検討は、十分なサンプル数に基づいたとは言えないため、今後、多数症例における検討が必要と思われる。
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