研究概要 |
1.平成17年度の研究実績 (1)パニック障害患者末梢血サンプリング 本研究はパニック障害の発症に関連する遺伝子の同定および環境因子の解析を主要な目的としており、本年度はDNAサンプル収集に重点をおいた。三重大精神神経科と協力して、不安障害専門クリニック(東京及び名古屋)にて、パニック障害患者のDNAサンプル収集を行った。当初の計画では、平成17年度は300例程度の試料収集を目指すとしていたが、3月までにすでに500例を収集した。診断はDSM-IVの基準に従い、詳しい臨床症状の検討を行った。同時に、anxiety sensitivity質問紙、NEO-PI-R,STAI等の心理・臨床データ・性格検査、また、環境要因の聞き取り調査を行った。その他、大分大、千葉大研究協力者から約150サンプル、韓国の研究協力者から200サンプルの提供申し出がある。 (2)遺伝子多型解析 本年度は、心理・臨床データ・性格傾向と不安うつ関連候補遺伝子について多型解析を行った。また、4000人の質問紙調査でパニック障害発症に関連する環境要因の解析結果を報告した。現在、東大人類遺伝教室で、収集したパニック障害200例のSNPsチップによるゲノムスキャンが行われている。 2.平成18年度の研究計画 対象のリクルートについて引き続き積極的行い、今年度さらに200サンプル以上収集し、早期に全体で1000サンプルの収集を目指す。現在行なわれているゲノムスキャンから得られるパニック障害感受性候補遺伝子の解析を進める。個々の遺伝子単独での検討だけでなく、シグナル伝達経路をもとに複数の遺伝子をひとまとまりとして、相加・相乗効果についても解析を行い、関連する遺伝子全体の把握を目指す。
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