1.パニック障害患者末梢血サンプリング 不安障害専門の医療法人和楽会の協力で700例のサンプル収集を行った。他施設の研究協力者のサンプルを合わせると1000例収集できパニック障害の遺伝子研究を行うために十分な試料の収集を達成した。 2.関連遺伝子および環境因子解析 (1)心理・臨床データ・性格傾向・環境因子に関し不安関連候補遺伝子の多型解析を行った。その結果、DRD4およびXBP1遺伝子多型と不安傾向の関連、CRHRS2遺伝子多型と開放性との関連などを見出した。また、天候を含む環境要因および運動習慣とパニック症状出現との関与を示した。体内時計関連遺伝子Per3、CK1ε、CLOについて、パニック障害患者222名を対象に解析を行ったがパニック障害との関連は示唆されなかった。 (2)関連研究の対象遺伝子の選定のため岡崎祐士都立松沢病院長により上記サンプルを用いて行われたパニック障害に対する50万SNPsをマーカー、500KSNPチップを用いたゲノムワイド関連解析研究について解析を行った。患者・対照間の対立遺伝子頻度でp≦0.001の水準にあるSNPsは全ゲノムにおいて1643個存在し、そのうち集積部位に存在するSNPsは431個であり、これらが位置する既知の遺伝子数として79個認められた。1番染色体領域におけるパニック障害の疾患感受性遺伝子2個について検討し、1次サンプル(パニック障害患者200名、健常対照群100名)、および、2次サンプル(パニック障害患者267名、健常対照者462名)について解析を行った。permutation法によるハプロタイプ全体の比較の結果、遺伝子PDE4BとSYT2について、パニック障害との関連が示唆された。今後も全ゲノムレベルでの疾患感受性遺伝子探索を継続する計画である。
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