研究課題/領域番号 |
17591199
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
染矢 俊幸 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50187902)
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研究分担者 |
村竹 辰之 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (60311669)
鈴木 雄太郎 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (60377158)
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キーワード | 総合失調症 / olanzapine / perospirone / 耐糖能異常 / insulin / leptin / prolactin |
研究概要 |
平成17年度は以下の検討を行った。 精神疾患患者23名を対象にperospirone(PER)単剤療法を行い、PER血中濃度とCYP2C19遺伝子型との関連、PER血中濃度と臨床パラメーターとの関連について検討をおこなった。その結果CYP2C19を不活性化させる変異アレルをもつ個体ともたない個体との間で、PER血中濃度に有意差は認められず、PERの肝における代謝にはCYP2C19の関与はきわめて小さい可能性が示唆された。一方、従来型抗精神病薬からPERへの切り替えを行った統合失調症患者11名では、切り替え前と比較して切り替え後のprolactin(PRL)血中濃度は有意な低下を認め、切り替え後のPRL血中濃度は、PERの用量とではなく、PER血中濃度との間に正の相関を認めた。PER投与時のPRL血中濃度の指標としては、PER血中濃度が有用であるかもしれない。 統合失調症患者35名に対しolanzapine(OLZ)単剤療法を行い、OLZが血液生化学的マーカーに及ぼす影響について検討を行った。未治療群においてはOLZ開始後8週時までに6kg/m^2以上のBMIの上昇を来した症例が2名認められた。これらの症例では体重増加に伴い、血中insulinおよびleptin濃度の顕著な上昇が認められたが、FBSには明らかな変化はみられなかった。したがってInsulin抵抗性の増大の初期の指標としては、FBSよりも血清insulin濃度がより鋭敏である可能性が示唆された。現在、耐糖能異常の指標としては一般にFBS測定が行われているが、短期間にinsulin抵抗性が増大する症例においては、FBSは耐糖能異常発現の指標として鋭敏ではなく、血清中のinsulinやleptin濃度測定がより有用であるといえる。また、こうした症例における耐糖能脆弱性の検索が重要であると思われる。
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