研究課題
近年、わが国の統合失調症治療においては、従来型抗精神病薬に比べて錐体外路症状や鎮静、認知機能低下などの副作用が少ない新規抗精神病薬(リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、ペロスピロン、アリピプラゾール)が導入され、治療選択の幅が大きく広がったが、これらの薬剤では、糖脂質代謝異常や肥満の危険が高いことが問題である。わが国ではオランザピン、クエチアピンが惹起する耐糖能異常により死亡例が認められ、糖尿病患者においてはこれらの薬剤が使用禁忌となっていることが薬剤選択の上で大きな障害となっているが、こうした副作用の発現機序、遺伝的要因については国内外を問わず明らかにされていない。本研究では、特に新規抗精神病薬において発現頻度が高いと推測される、耐糖能異常、高脂血症、肥満などの副作用に着目し、抗精神病薬の臨床効果・副作用と各種脳内受容体の遺伝子変異との関連について検討を行っている。これまでに、抗精神病薬内服中の統合失調症入院患者を対象として、約200名の耐糖能に関連するアディポカイン、体重・BMI、ウエスト径、血圧のデータを収集済みである。平成18年度は、未治療の統合失調症患者43名におけるオランザピンの臨床効果とドーパミンD2遺伝子多型との関連について検討し、ドーパミンD2受容体のTaq1多型のA1アレルをもつ群では、A1アレルをもたない群と比較してBPRS改善率が有意に高いという結果が得られた。また、ペロスピロン単剤療法中の統合失調症患者において、ペロスピワン血中濃度とその活性代謝物であるID15036血中濃度が血中プロラクチン血中濃度に及ぼす影響について検討した。その結果、PRL血中濃度とペロスピロンの用量との間には相関が認められず、ペロスピロンおよびID15036血中濃度との間に正の相関を認め、ID15036はペロスピロンよりもPRLに及ぼす影響が大きい可能性が示唆された。
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