研究課題
基盤研究(C)
覚醒剤依存症における報酬系や精神依存関連遺伝子の変異部位の同定をする。注目するところはドーパミン代謝系に関与する、モノアミン酸化酵素(MAOA、MAOB)、カテコールアミン-O-メチル転移酵素(COMT),ドーパミン酸素代謝系と相互作用をもつセロトニン系のセロトニントランスポーター(STP)、MAOAとリンクしているスーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)である。これらについて、遺伝子発現を調整し、酵素活性を制御するプロモーター領域、酵素活性そのものを変化させるエクソン領域、サブタイプによって、発現を制御する3'領域について研究する。覚醒剤精神病の形成は、その薬物自体の薬理作用、環境、心理社会、家族背景、遺伝など様々な要因などが影響していることが指摘されている。今回は、覚醒剤精神病と細胞毒性に関与するSOD(スーパーオキサイド脱水酸化酵素)2の酵素活性に関与する部位との相関研究を行なった。日本人サンプルは覚醒剤精神病116名、健常者189名である。台湾サンプルは覚醒剤精神病135名、健常者204名である。幻覚・妄想が1ヶ月以内に消失したものを早期消退型、1ヵ月以上続いたものを遷延型と定義した。SOD2の活性に関与するSOD2遺伝子多型を各群について解析を行なった。日本人サンプル、台湾サンプルの両方においてSOD2の遺伝子多型のうち、exon 2 (Ala9Val)の低活性アレル(Ala)が、遷延型群において健常者群より有意に多く認められた。SOD2が低活性であると、覚醒剤精神病の精神症状が遷延する可能性が示唆された。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Human Genetics (in press)
Pschiatric Genetics (in press)