研究課題/領域番号 |
17591206
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大饗 広之 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80362242)
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研究分担者 |
西岡 和郎 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80237669)
浜渦 辰二 静岡大学, 人文学部, 教授 (70218527)
村上 靖彦 日本大学, 国際関係学部, 助教授 (30328679)
田辺 肇 静岡大学, 人文学部, 助教授 (60302361)
古橋 忠晃 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 助手 (50402384)
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キーワード | 衝動行為 / 予見不能性 / 解離 / 外傷体験 / 自閉傾向 / インターネット / 犯罪 / 自殺 |
研究概要 |
最近、社会的にも問題にされることが多い、青年期を中心にみられる「予見不能の突発的逸脱行動」について、以下の諸点からの検討を継続中である: 1)犯罪既遂例の検討:代表的な鑑定症例を中心に、鑑別診断的、機構論的、精神病理学的に解析中である。 2)臨床等価例の検討:(1)犯罪、自殺に危うく至るほどの激しい逸脱行為、(2)予見不能性、(3)器質的疾患などの除外といった基準で、臨床等価例(現在約20症例)を選択し、鑑別診断的、機構論的、精神病理学的に解析中である。臨床診断ではDDNOS、PTSD,IEDなど多岐にわたるが、予測に反して定型的な人格障害に相当する症例はまれである。 3)逸脱行為と関係する機制としては、解離(人格の多重性、imaginary companionなど)、外傷記憶の侵入的想起、自閉傾向が、予備的考察の段階ではあげられる。これら諸傾向の相互関係を検討するため、各傾向に対応する諸検査(BAQ,AQ,DES、外傷体験尺度)を施行する準備段階にある。 4)同様の検査バッテリーを一般青年群に対して施行し、突発的な逸脱に関与すると推測しうる諸傾向と、現代的な生活習慣(TV,TVゲーム、携帯電話、インターネット使用)との関係について、統計的解析を行う準備を行っている。予備的調査の段階では、インターネット使用(情報閲覧サイト)ならびにTVゲームと自閉傾向との間に有意な正の相関、携帯メール使用と解離傾向に有意な正の相関、外傷体験、解離傾向、自閉傾向の3者の間に有意な正の相関、またTVゲーム、インターネット使用と、敵意、身体的攻撃性との間に正の相関(ただし言語的攻撃性との間には負の相関)が推測される。 こうした解析をさらに数的に進めることによって、「突発的な逸脱行為」-攻撃性諸因子-精神医学的機制(解離、外傷記憶、自閉など)の相互関係についての解釈を次年度に行う予定である。
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