研究課題
レビー小体型認知症(DLB)は、認知症の原因疾患としてアルツハイマー型認知症(AD),脳血管性認知症についで多い疾患であるが、ADに比較して予後が不良であるいという報告がある。本年度我々は施設入所の時期に着目して検討を行なった。剖検によって診断の確定された18名のDLB患者と35名のAD患者の施設入所時の認知機能、運動機能、問題行動などについて両疾患の比較を行なった。発症年齢についてはAD群が73.8±9.0歳、DLB群が73.0土9.8と統計学的な有意差はなく、発症から入所までの期間も4.8±3.6年と3.8±3.4年で有意な差を認めなかった。しかしながら、改長谷川式簡易知能評価スケールの得点はAD群が43±3.8点で、DLB群が10.3±7.1と有意に高く(p=0.02)、MMSEも同様(6.2±6.1Vs13.0±5.0、P=0.02)であった。また、入所時の症状や運動機能などの評価では、DLB群で幻覚などが多く、自発性や覚醒度が低く、着衣などの運動機能が低いことが示された。今回の検討は、AD、 DLBともに剖検によって診断が確定した患者のみを検討対象にしており信頼性が高いと思われる。在宅介護が破綻して施設入所に至る時点において、DLB患者はAD患者と比較して、認知機能においては保たれているものの、幻覚等の症状が多く、運動機能の障害が強く日常生活機能が低下していることが示された。従って同じ認知症を呈する両疾患の経過が大きく異なり、施設入所の原因も異なるものと思われる。こうした事実をもとに、DLB患者とその介護者が在宅介護の継続を希望される場合には、認知機能だけでなく運動機能や幻覚などの症状に対する治療や対応が求められると考えられる。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (7件)
Acta Neuropathol 111(2)
ページ: 109-114
J Am Geriatr Soc 54(3)
ページ: 558-559
J Clin Biochem Neutr 38(1)
ページ: 19-24
Diabetes/Metabolism Research and Reviews 22(5)
ページ: 376-384
Geriatr. Gerotr, Intr 6
ページ: 254-259
Mech Ageing Dev 127(10)
ページ: 813-815
糖尿病合併症 20 (1)
ページ: 71-74