研究課題/領域番号 |
17591210
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
工藤 喬 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (10273632)
|
研究分担者 |
武田 雅俊 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00179649)
田中 稔久 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (10294068)
紙野 晃人 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40307955)
大河内 正康 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90335357)
田上 真次 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40362735)
|
キーワード | アルツハイマー病 / 小胞体(ER)ストレス / アミロイド蛋白(Aβ) / アミロイド前駆蛋白(APP) / 分子シャペロン |
研究概要 |
我々の過去の検討から、家族性アルツハイマー症の原因遺伝子であるプレセニリン1変異体の存在は小胞体(ER)ストレス反応の低下をきたすことが示されている。また、パーキンソン病やポリグルタミン病の発症にもERストレスの関与が紹介されている。一方、アルツハイマー病の病態仮説としては「アミロイドカスケード仮説」が提唱されており、脳内におけるアミロイド蛋白(Aβ)の産生・蓄積がアルツハイマー病の病態の端緒であるとされている。従って、本研究はERストレスとAβ産生の関係について検討し、治療方法の開発を目指した。スエーデン型変異アミロイド前駆体蛋白(APP)を発現させたSY5Y/APPsw細胞をthapsigarginやtunicamycinなどのERストレス誘導剤を投与すると、分泌されるAβ40及びAβ42の減少が観察された。細胞小器官を分けたsubfractionation及び免疫組織化学による検討では、ERストレス下ではAPPがlate compartmentからearly compartmentへ変異することが示され、β/γ切断酵素によるAβの切り出しが行われる部位へのAPPの分布が減る事が示唆された。免疫沈降実験よりERストレス下ではAPPとERストレスにより誘導されるシャペロンBiPが結合することが示され、これによりAPPの逆行輸送がなされる可能性が示唆された。この現象は、BiPをトランスフェクトしたSY5Y/APPsw細胞で分泌Aβ40/42の減少が認められることにより、確認された。これらのことにより、ERストレスにより誘導される分子シャペロンはAβの産生の調節にあたることが示唆された。
|