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2006 年度 実績報告書

被害者陳述の信頼性・信憑性評価法の開発:心的外傷の法廷評価のために

研究課題

研究課題/領域番号 17591212
研究機関兵庫教育大学

研究代表者

岩井 圭司  兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (20263387)

キーワード心的外傷 / 外傷後ストレス障害 / PTSD / 精神的被害 / 精神鑑定 / 民事賠償裁判
研究概要

裁判において精神的被害を正しく評価するために、被験者の意識的あるいは無意識的な意図によって症状が過大に報告されることの少ない質問紙を開発し、心的外傷を反映する生理学的指標(以下、「生理指標」)と組み合わせることによって、被害者の陳述の信頼性・信憑性を評価法する方法を開発することをめざした。今回は、MMPIに着目した。MMPIとその下位尺度であるPK尺度は、PTSDに関して非特異的な設問のみからなるにもかかわらず、PTSD診断テストとして有用であることを示した。
対象は、精神科診療所AクリニックにPTSDの疑いで他機関から紹介受診となった45名(男性が15名、女性30名)。平均年齢(Ave.±SD)は、男性35.0±12.5、女性36.6±16.0だった。平均年齢に有意の男女差はなかった。全員に初診時にMMPIを施行するとともに、初診から1か月以内に構造化面接(CAPSあるいはM.I.N.I.のいずれか)を行いPTSDの有無を診断した。初診時のMMPIからPK得点(埋め込み型PK得点)を算出した。
構造化面接によって27名(男7名、女20名)がPTSDと診断された。PTSD例の平均年齢(35.7±10.9)と非PTSD例(38.9±10.6)では有意差を認めなかった。
男女別のPK得点(埋め込み型)は、男35.0±12.5、女36.6±11.0で、有意な性差は認めなかった。PTSD例のPK得点(埋め込み型)は21.1±8.8で、これは非PTSD例13名の12.6±10.4に比べて5%水準で有意に高かった。区分点を17/18に設定すると、感度75%、特異度65%であった。
次に、MMPIの標準下位尺度の単純1次線形結合によるPTSD診断を試みたところ、PTSD診断を最も高率に予測し得た式は。D+Pd+Sc-Pa-Ma-Si(≡M-PTSD Index)であった。このM-PTSD Indexは、PK尺度とほぼ同程度の峻別力を有していた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] PTSD訴訟事例に関して-精神科医にできることとしなければならないこと2006

    • 著者名/発表者名
      岩井 圭司
    • 雑誌名

      精神神経学雑誌 108巻5号

      ページ: 470-474

  • [雑誌論文] 治療者が「外」に向けて語り得ること 心的現実,外傷(トラウマ),目撃-証言,鑑定2006

    • 著者名/発表者名
      岩井 圭司
    • 雑誌名

      臨床精神病理 27巻1号

      ページ: 61-62

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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