研究課題/領域番号 |
17591216
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
井上 新平 高知大学, 副学長 (20125826)
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研究分担者 |
加藤 邦夫 高知大学, 医学部, 教授 (70346708)
下寺 信次 高知大学, 医学部附属病院, 助教授 (20315005)
上村 直人 高知大学, 医学部附属病院, 講師 (10315004)
泉本 雄司 高知大学, 医学部附属病院, 助手 (20325418)
澤田 健 高知大学, 医学部, 助手 (10372731)
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キーワード | 医療面接 / コミュニケーション / 視線 / OSCE / 患者評価 / ビデオ再生評価 |
研究概要 |
医療面接において視線を合わせる行為が持つ意義について検討した。対象は高知大学医学部5年生187人で、OSCE評価、患者評価、採録したビデオによる後日評価の3種を施行した。得られた結果は、1)OSCEでは挨拶自己紹介、視線、最初の質問などで80%以上、共感、要約などで60%以上が適切であったが、既往歴家族歴、明確化、解釈モデルなど適切レベルは60%以下であった。2)独自に数値化したOSCE平均得点では50点以上の学生は60%に達した。3)OSCE項目の因子分析では8つの因子が取り出せ、第一因子(情報収集)、第二因子(会話促進)、第三因子(感情への配慮)の3因子で分散の43%が説明された。4)患者評価では、挨拶、視線などは80%以上が「良」、「最良」であったが、「言いたいことが十分に言えた」は73%、「自分のことがわかってもらえた」は62%で低い傾向にあった。5)ビデオ再生時の評価で面接時間の平均は12分48秒、同じく視線を合わせていた時間は8分48秒、視線を合わせている時間の割合は69%であった。6)患者評価で、「話しやすかった」と関連した項目は、視線・共感(OSCE)、表情・笑顔・アイコンタクト・うなずき・声のトーンなど(ビデオ評価)、「十分話せた」と関連した項目は、促進・受療行動(OSCE)、体の傾き(ビデオ評価)、「わかってもらえた」と関連した項目は、共感、・受療行動(OSCE)、表情・声のトーン(ビデオ評価)であった。8)視線を合わせる割合では60-70%で患者評価が最も低く、それ以下と以上では評価が高く患者群が均一でないことが想定された。更に検討し、(1)面接者が女性の場合は視線を合わせる割合が多いほど患者評価が高い、(2)被面接者が男性の場合は視線を合わせる割合が少ないほど患者評価が高い、(3)模擬患者で面接時間が長いほど評価が高いという結果を得た。以上より、視線が持つ影響は性別や患者の病態により異なることがわかり、医学教育で考慮されるべきである。
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