研究課題/領域番号 |
17591225
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
池本 桂子 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (90184449)
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研究分担者 |
本間 好 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60192324)
丹羽 真一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (30110703)
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キーワード | モノアミン / チロシン水酸化酵素 / 統合失調症 / 死後脳 / プロスタグランジン-D-シンテース / カテコールアミン / 脳バンク |
研究概要 |
福島医大を中心とする精神疾患死後脳バンクにおいて、死後脳研究がこれまで行われてきたが、本バンクの標本をを用いた系統的検討は十分なされていないのが現状である。とはいえ、本年は、左半側を凍結保存、右半側をホルマリン固定とした統合失調症症例を用いて、分子遺伝学的および組織化学的研究を発展させることができた。 分子遺伝学的研究としては、凍結脳からDNAを抽出し、生体情報伝達研究所生体物質部門において、Bisulfite法により、モノアミン関連遺伝子のDNAメチル化を検討している。統合失調症脳の背外側前頭前野、後頭葉、海馬、側坐核などの4領域を検討し、3例から7例へと検討症例を増やしている。 組織化学的研究用のホルマリン固定脳は、1症例に対し、大脳皮質、海馬、側坐核など、計18領域を切り出した後、各領域からパラフィンブロックを作成し、薄切して切片とした。これらをモノアミン関連物質の抗体を用い、免疫組織化学的手法により局在を検討している。また、統合失調症において睡眠障害の出現が高いことに注目して、滋賀医大法医学講座との共同研究において、睡眠関連物質である、プロスタグランジン-D-シンテースの健常人における局在をまず検討し、げっ歯類における局在と相違点があることを見出した。 さらに、統合失調症の胎生期ストレス仮説があり、胎生期ストレスが中枢神経系に与える影響について関心が持たれてきたが、この点についてのモデル研究を進展させた。すなわち、反復寒冷ストレス負荷による胎生期ストレスモデルラットを作製し、チロシン水酸化酵素の免疫組織化学により生後8日目の新生仔のカテコールアミン神経系を形態的に検討した結果、モデルラットにおいては、主としてノルアドレナリンニューロンの発達の障害がみられるだけでなく、大脳皮質大型バリコースの減少を認めることをも報告した。
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