研究課題/領域番号 |
17591225
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
池本 桂子 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (90184449)
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研究分担者 |
本間 好 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60192324)
丹羽 真一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (30110703)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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キーワード | 統合失調症 / モノアミン / エピジェネティクス / DNAメチル化 / 死後脳 / MAOA / MAOB / 側坐核 |
研究概要 |
統合失調症発症には、モノアミン神経系の機能異常が関わることが知られているにも拘らず、疾患脆弱性に関わるモノアミン関連遺伝子として、COMT以外の報告は見当たらない。むしろ、神経突起の伸長や発達に関わる遺伝子が、発症脆弱性に関連すると報告されている。従って、モノアミン関連遺伝子のゲノム配列の異常を伴わない、後成的調節(エピジェネティクス)が、統合失調症発症と関わるのではないかと考えられる。本研究では、福島精神疾患死後脳バンクの凍結標本のうち、統合失調症6例(男性3例、女性3例、病型内訳は、妄想型2例、鑑別不能型4例、PMI:7〜26時間)、精神遅滞1例を用い、前頭前野(BA46)、海馬、側坐核、後頭皮質の4領域の脳組織から抽出したゲノムサンプルを解析した。今回は、A型モノアミン酸化酵素(MAOA)およびB型モノアミン酸化酵素(MAOB)遺伝子のプロモーター領域におけるCpG島のDNAメチル化状態をbisulfite sequence法によって定量化し、得られたメチル化パターンをマッピングし、年齢、性別、臨床プロフィールとの関連を検討した。その結果、MAOAとMAOBのプロモーター領域を対象としたすべてのサンプルから良好な結果が得られた。男性では、MAOAとMAOBのプロモーターともに低メチル化アリルであるのに対し、女性では、同領域に中等度以上メチル化されたアリルの割合が多かった。このことは、X染色体インプリンティングと関連すると考えられる。DNAメチル化状態は、脳領域によって相違があり、鑑別不能型の女性の側坐核において、MAOA、MAOBのメチル化が高い傾向が示された。このことより、性差や病型、脳領域によりメチル化状態が異なる可能性が強く示唆された。今回の報告は、ゲノムメチル解析の第1歩であったが、今後は対照脳を用い、症例数を増やして解析を進めたい。
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