研究課題
精神疾患の診断は、診察者の精神症状の主観的な評価に主に依存しており、それを客観化することが現状では困難である。本研究の主目的は、統合失調症など精神病の症状の一部と考えられている表情の特徴を客観的なデータとしてとらえてゆくことにある。平成17年度において、健常群と、統合失調症群を対象に、表情の変化パターンの相違を調べるために、以下の手順で瞬目の計測を行った。健常群10例と慢性統合失調症群10例における安静時と集中課題、不安負荷時における表情の変化としての瞬目の計測をした。方法として、脳波記録と同時に、特殊小型携帯テレメーターと瞬目解析プログラム(MTS50069)を用い瞬目回数、瞬目のインターバルトレンド、インターバルヒストグラム、インターバルデーターの散布図を記録した。瞬目の客観的指標以外に、移動前後の症状変化の指標として患者群の簡易精神症状評価尺度(BPRS)と服薬薬剤の表情への影響を確認するために薬原性錐体外路症状評価尺度(DIEPSS)を測定した。健常群では、安静時より集中課題で有意に減少し、不安負荷時に瞬目回数が増加傾向にあったのに対し、統合失調症では安静時、瞬目間隔が長い傾向があるが、タスク負荷による特徴が明瞭でなかった。これは統合失調症自体の病理性と関連がある可能性が考えられる。次年度の研究では、統合失調症における環境変化による表情の変化をも検討する予定であるが、統合失調症における表現型の相違があり、統合失調症の中での症状の相違や表情傾向の相違に着目し、その群ごとでの検討が必要と考えられ、これも同時に検討する。
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