研究課題
基盤研究(C)
難治性うつ病に対する反復的経頭蓋磁気刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation、rTMS)の有効性と認知機能へ影響の検討を行った。rTMSのパラメータは直近の報告(Savitha E. Am J Psy 2007など)でも総パルス数が10000発以上が推奨されているため、本研究でも当初の予定より多くした。すなわち、左背外側前頭前野に対して、刺激強度は運動閾値の110%、刺激頻度10Hz、刺激時間5秒間、1日刺激総数1000発、刺激日数15日間、総刺激数15000発とした。症例の取り込みのためにマスメディアなどを通じて啓発活動を行った。最終的に応募者の中から除外基準に抵触しない数名の難治性うつ病患者を抽出し本研究を行った。結果は、約半数の患者においてうつ状態評価尺度であるHAM-Dスコアの軽度から中等度の改善(開始時スコアの50%以上の低下)を認めた。またその改善は、刺激期間終了後も2ヶ月にわたって持続した。Frontal Assessment Battery (FAB)、Wisconsin Card Sorting Test (WCST)による評価で認知機能に悪影響は認めなかった。また臨床上も問題となる副作用はなかったが、刺激部位の不快感ゆえ脱落する症例があった。既報でも難治性うつ病患者に対するrTMSの有効性は着実に追試されてきており、薬剤抵抗性の症例や高齢者において有効な選択枝となりつつある。今後も症例を重ねて有効性と安全性に関するエビデンスを集積していく予定である。
すべて 2006 2005
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