1.本研究の主目的は、精神疾患の候補遺伝子としてAMPA型グルタミン酸受容体の運搬に関わる遺伝子群に注目し、これらについて統合失調症および気分障害との関連の有無を調べることである。まず文献調査により、AMPA型グルタミン酸受容体の運搬に関わる候補遺伝子として、DLG4(PSD-95)、DLG1(SAP-97)、PRKCABP(PICK-1)、MDM2の4つを選んだ。HapMapデータベース(第II相)(http://www.hapmap.org)から、上記の遺伝子近傍に存在する一塩基多型(SNP)の情報を得た上で、CarlsonらによるLDSelectというプログラムを用いて連鎖不平衡解析を行い、日本人および中国人集団においてゲノム変異に関する情報を最も多く供給すると考えられるSNPセットを選択した。これらSNPにつき、プローブを設計・発注し、現在、統合失調症家系サンプルのジェノタイピングを行っている。 2.その他、気分障害と候補遺伝子研究HTR3セロトニン受容体についての関連研究を行った従来HTR3Aの一変異と双極性障害の関連が白人集団を用いた研究で報告されていた。今回、我々はHTR3Aだけでなく、同遺伝子座に隣接するHTR3Bについても、網羅的に遺伝マーカーをタイピングし関連解析を行った。その結果、日本人集団において、HTR3B遺伝子の多型が単極性うつ病と関連することを見出し、報告した(下記Yamada et al.印刷中)。
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