研究概要 |
心筋標準のためのファントム作成、データ互換性の検討、多施設研究のための基礎が達成された。 1.ファントム作成について。 I-123コリメータの差が定量に大きな影響を及ぼし、結果的に施設を超えた標準作成の大きな障害となっているとことに鑑みて、新たにブロックファントムを作成し、5エネルギーを同時収集することによって、I-123 2エネルギーウィンドウおよび3エネルギーウィンドウ法を考案した。このブロックモデルによる検討を数学的に求めた理論値と比較して、補正が可能となる見込みが示された。そこでこのアイデアに基づいて、4種類のファントムの作成を終了した。次年度で、本ファントムを用いて、実際に標準作成のための実験に入る予定である。 2.標準化のための協力施設における準備 多施設による協力を得るために、日本核医学会をとおして、作業部会を組織した。「日本人における心筋SPECTデータの標準化」として平成17年10月に学会の認可をうけ、代表者中嶋憲一ほか、国立循環器病センター、東京女医科大学、慶応大学、北海道大学、金沢大学、虎の門病院の各施設で、標準作成のために、臨床試験管理センターや倫理委員会等で申請を行っている。また、国内5社のワークステーションにデータの移行が可能であるかどうかの検討を行った。同時に核医学的な心機能の解析ソフトの作成者であるG.Germano氏(Cedars Sinai Medical Center, USA)の協力も得て、データ移行と標準作成にかかる問題点を抽出して対策を検討中である。現状では、関連する核種の種類、SPECTデータの収集機器、データ収集法に依存するところが大きく、日本全体で統一するためには多くの課題があるが、解析の基礎は本年度で確立したため、次年度に実際のデータ収集に入る予定である。 3.次年度の解析について 核種毎に3期に分けてデータ収集を行い、一つのワークステーションに転送を行う。このデータについて、統一した条件で解析を行い、日本人の標準を作成する。
|