研究概要 |
高齢者を対象とする心機能の標準化にむけて次の作業を行った。 1)日本核医学会として2年間の作業部会「日本人における心筋SPECTデータの標準化」を組織した。日本医科大学、国立循環器病センター、慶応義塾大学、北海道大学、虎の門病院、東邦大学、金沢大学の協力の下に、心筋標準データの収集を行った。この過程で、各施設の倫理委員会や臨床研究指針に適合させた。その後、統合ワークステンションのデータフォーマットに変換し転送した。同時に標準作成後のソフトウェア作成に関連して、国際的にも最も用いられている心筋SPECTソフトウェアの開発者である、Germano氏(Cedar Sinai Medical Center),Garcia氏(米国Emory大学)の協力も得て、多機種にて利用できる環境を整えた。 2)核医学会としては2007年10月までの研究計画で心筋血流、心筋I-123 BMIPP、MIBGのSPECT標準を作成する。本科研費の期間内では、心筋血流標準までの作成を終了し、学会活動と連動して研究を進めている。研究成果は、学会作業部会報告としても公表される。 3)I-123放射性医薬品用の胸部・心筋ファントムを試作し、評価実験を行った。この標準ファントムを用いて、データ収集を行い、異なるカメラ・コリメータにてその標準化の検討を行った。複数のエネルギーウィンドウを同時に開いてデータ収集を行う方法が、実現可能な方法として選択された。 4)心筋gated SPECTによる予後研究J-ACCESS(西村恒彦主任研究者)のデータを用いて、心機能の標準データを作成した。このデータベースは日本人4670人からなるSPECTデータと臨床的背景データを有している。そこで、このデータから、心事故が認められなかった低リスク群268人を抽出した。このデータをもとに、基本的な心機能パラメータである、駆出分画および容積の男女別および年齢毎の正常範囲を決定した。女性では駆出分画が有意に高く、また年齢との相関も認められ、特に性別と年齢を考慮した診断体系を構築する必要があることが示された。
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