研究概要 |
平成17年度は、サイズの極めて小さいラットの伸展固定肺の作成および核磁気共鳴画像(以下MRI)の最適化の確立に重点をおいた。伸展固定肺についてはエーテル、ネンブタールにてラットを麻酔した後に、頸部を伸展皮切し、気管にカニューレーションした。20センチ水柱圧により空気伸展を行なった後に体外に摘出し、ホルマリン水溶液中に保存した。ホルマリン水溶液による伸展固定は、肺のMRIでは水溶液自体が、重大なアーチファクトとなりうるので空気伸展法を採用することとしたが、すべての病理標本で組織は良好に固定されていることが確認された。次に画像については、高磁場MR装置(当院設置の1.5テスラ装置)に小口径受信コイルを併用することにより、高分解能CTと同等の形態画像を得ることが可能であることが明らかになった。MRIは形態情報に加えてT1,T2などの組織の緩和時間などの機能情報を追加できることがCTと比較して優れている部分であるので、これらのパラメーター計測もおこなったところ、伸展固定肺のT1値、T2値は、それぞれ763ms、19ms程度であることが明らかとなった。これらの結果は、新しい知見であり、今後、学会において発表を行なう予定である。 今後は、オレイン酸の静脈内投与により急性肺水腫モデルの作成も可能であると思われるので、病理組織と対比させることで、疾患モデルのMR画像の解析をおこなうことも予定している。また超高磁場MR装置(当院設置の3テスラ装置)の使用により、さらに高分解MR画像も期待できるので、今後は3テスラ装置の使用も予定している。
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