研究概要 |
我々は、平成17年度に核磁気共鳴画像(以下MRI)を用いたラット空気伸展固定肺の解析方法を確立し、平成18年度は、急性肺疾患(ARDS)モデルにこの手法を応用して、緩和時間、形態画像を解析し病理との比較を行うことにより、ARDSモデルにおいては、磁化率効果の軽減がT2値延長の機序であることを明らかにした。平成19年度は肺動脈塞栓モデルにこの手法を応用したところ、形態画像の視覚的評価では肺動脈塞栓モデル群では、肺動脈の拡張、肺野にすりガラス状・網状の病変が認められた。H-E所見との対比により、これらの画像所見は肺毛細血管床にうっ滞した赤血球を反映したものであった。定量的評価では、コントロール群のT1値は1690±720ms、T2値は28.0±5msであり、肺動脈塞栓モデル群のT1値は890±55ms、T2値は5.0±4.0msであった。肺動脈塞栓モデル群ではコントロール群に比べ、有意にT1,T2値の短縮を認めた(P<0.05)。肺の解析において、MRIは形態情報の提供とともに、T1、T2値などの緩和時関による機能時報をMRIが併せ持っことを実証したこれらの研究結果は、新たな知見であり、これらの研究について、最終的な結果を学会報告し、査読のある学術雑誌に発表する予定である。
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