平成20年度は大血管結紮処理と補液負荷により作成したラットの心原性肺水腫モデルとブレオマイシン溶解液の気管内投与により作成した間質性肺炎モデルについて、T1、T2値などの緩和時関を測定した。形態的評価では心原性肺水腫モデルは間質性肺炎モデルと同様のびまん性陰影を形成した。心原性肺水腫モデルのT1値は1401±80ms、T2値は16.04±1.0msであったが、間質性肺炎モデルのT1値は1263±76ms、T2値は10.66±0.8msであった。心原性肺水腫モデルのT1値、T2値は間質性肺炎モデルのT1値、T2値より有意に延長していた(P<0.05)。 病理標本の観察により、心原性肺水腫では間質を主に水成分が占めていることに対し、間質性肺炎では炎症細胞や線維芽細胞の浸潤が主体であり、プロトン密度、磁化率効果の違いを反映しているためと思われた。 肺の解析において、MRIは形態情報の提供とともに、T1、T2値などの緩和時関による機能情報をMRIが併せ持つことを実証したこれらの研究結果は、新たな知見であり、これらの研究について、最終的な結果を学会報告し、査読のある学術雑誌に発表する予定である。
|