研究概要 |
我々が確立した、I-123 5IA-SPECTを用いた脳内ニコチン作動性アセチルコリン受容体(nAChR)定量測定法を用い、健常者のnAChRを測定してきた。この延長として、喫煙者と非喫煙者の脳内nAChRの発現率の違いをin vivoで計測した。1回の撮影では平均167MBqのI-123 5IAを投与し、SPECT撮影を行う。nAChRの脳内密度の定量的指標として5IAの分布容積(DV)を、動脈入力曲線および脳内時間濃度曲線から動態モデル解析を行い算出した。非喫煙者、喫煙者では禁煙4時間後、禁煙10日目、禁煙21日目の4群でnAChRを計測した。禁煙4時間後のDVは非喫煙者より有意に低下していた。死後脳の検討で禁煙車のnAChRが非喫煙者より高いことが知られているが、喫煙後4時間たっていても喫煙による血中ニコチン濃度が高い影響などでフリーの受容体結合能が非喫煙者より低いことを示唆する結果である。また喫煙10日目のDVは非喫煙者より有意に高かった。これは血中ニコチンが完全に消失した時点では、死後脳で報告されたごとくに受容体発現が非喫煙者より高くなっていることと合致する。禁煙21日目の検討では、非喫煙者とほとんど変わらない程度までDVが低下した。喫煙者のnAChR脳内発現は、禁煙後約3週間で非喫煙者レベルになることが示唆された。 Mamede M, Ishizu K, Ueda M, et al.Temporal Change in Human Nicotinic Acetylcholine Receptor after Smoking Cessation:5IA-SPECT Study. J Nucl.Med.(投稿中)
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