研究課題
基盤研究(C)
平成17年度は、一側の基底核域ないし視床に比較的限局した脳出血を有する5症例を対象に、発症2週間前後の時期に[^<123>I]Iomazenilを用いたSPECT検査および3テスラ(T)MRIによる検査を施行することができた。[^<123>I]Iomazenil投与後3時間の後期像の定性的検討では、血腫側の大脳半球皮質の[^<123>I]Iomazenilの集積は健側に比べ明らかに低下していた。小脳半球皮質における[^<123>I]Iomazenilの集積に対する大脳半球皮質における集積の比率を用いた定量的検討では、患側大脳半球皮質では健側に比べ平均15%の集積低下を認めた。一方3TMRIを用いた検討では、拡散強調画像では血腫から離れた患側の白質ないし灰白質には明らかな異常信号域は観察されず、ADCおよびFAを用いた定量的解析によっても健側大脳半球と比べて有意な変化は観察されなかった。剖検脳MRIと病理組織学的検討に関しては20例について行ったが、一側の基底核域、視床に限局した出血巣ないし梗塞巣を有した症例は含まれておらずその検討は行えなかった。今回の初期検討から、基底核域、視床などの出血巣とは離れているが、神経線維を介した連絡を有する大脳皮質においても[^<123>I]Iomazenilの集積は低下しており、MRIで明らかな変化の見られない領域においても神経細胞脱落が生じつつあることが示唆された。しかしながら、今回の検討では病理学的所見との対比ができていないことから、今後症例の蓄積とともに病理学的検討を行って行く予定である。
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