研究課題/領域番号 |
17591274
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
伊東 克能 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (00274168)
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研究分担者 |
藤田 岳史 山口大学, 医学部, 助手 (50335733)
松永 尚文 山口大学, 医学部, 教授 (40157334)
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キーワード | trueFISP / 門脈 / サブセカンドMRI / 血流マッピング / 上腸間膜静脈 / 脾静脈 |
研究概要 |
門脈内において脾静脈、上腸間膜静脈血流は、合流後に層流や乱流、渦状流を形成すると考えられている。この門脈内血流は病的状態下のみならず生理的状態下でも様々な因子により常に変化していると推察されるが、上腸間膜静脈血流と脾静脈血流の門脈内分布における経時的、相対的変化およびリアルタイムでの動的血流分布の変化などは十分に解明されていない点が多い。脂肪抑制併用trueFISP法は高いS/Nを有し、1秒前後での撮像が可能な高速撮像法で、門脈系を明瞭な高信号に描出し血管内信号が評価可能である。今回、脂肪抑制trueFISP法に選択的IRタギングパルスを上腸間膜静脈に印加し、門脈本幹レベルで同一スライスを連続的に撮像するsingle-level flow dynamic cine MR imagingを施行し、門脈内血流分布の動的経時的変化を検討した。対象は健常者ボランティア25名で、使用MR装置は東芝製1.5T VISART/EXである。1回の呼吸停止下に脂肪抑制trueFISP法で上腸間膜静脈に選択的IRタギングパルスをかけた状態で、冠状断像において門脈本幹が描出されるスライス面にて連続的にdynamic cine撮像をおこなった。2名の放射線科医が上腸間膜静脈血流について門脈内での分布が経時的にどのように変化するかを検討した。上腸間膜静脈血流はsingle-level flow dynamic cine MRにて門脈内に低信号帯として描出された。上腸間膜静脈血流はおおむね門脈の右側に認められる傾向にあったが、経時的変化では全例で門脈内を小刻みに振動、動揺するような流れが観察された。このうち10例(40%)ではわずかな振動であったが、15例(60%)では正中を越えて大きく振動していた。今後、この原因としての、周囲腸管の蠕動や併走する動脈からの拍動、呼吸性の血管形態の変化との関連性を検討する必要がある。脂肪抑制trueFISPと選択的IRタギングパルスによる門脈のsingle-level flow dynamic cine MRにより、門脈内での上腸間膜静脈血流分布の動的経時的変化が生理的状態で評価できると考えられた。
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