研究課題
基盤研究(C)
trueFISP法を用いた非造影MRAでは、上腸間膜静脈、脾静脈に選択的なタギングパルスを印加することにより、上腸間膜静脈、脾静脈それぞれからの血流信号を抑制し、これにより門脈内に流入した静脈血流は低信号に描出され、その分布域が判定可能であった。門脈正接像のtrueFISP非造影MRAでは、それに選択的タギングパルスを印加することで、3次元的広がりを持つ流入血流の血管内分布パターンが評価可能で、正常ボランティアにおける検討では、上腸間膜静脈、脾静脈血流は、半数では層流を形成していたが、残りの約半数では渦状流を形成しているのが確認された。さらに冠状断像での血流分布情報を付加し、高速連続撮像を行うことにより、より正確な4次元的血流マッピングが可能となった。血流マッピングには、信号の強さと方向性に基づくベクトルマップ法やトラクトグラフィーなどによるカラー表示が有用と考えられた。渦状流の形成には上腸間膜静脈、脾静脈合流部の形態によっても大きく影響され、脾静脈が腹側あるいは背側から大きく回り込んで上腸間膜静脈に合流するタイプでは渦状流を形成する場合が多いと考えられた。またtrueFISP法を用いた非造影MRAでは1秒以下の高速連続撮像が可能であり、選択的IRタギングパルスを上腸間膜静脈に印加し、門脈本幹レベルで同一スライスを連続的に撮像するsingle-level flow dynamic cine MR imagingによる門脈内血流分布の動的経時的変化の検討では、上腸間膜静脈血流はおおむね門脈の右側に認められる傾向にあったが、経時的変化では全例で門脈内を小刻みに振動、動揺するような流れが観察された。このうち40%ではわずかな振動であったが、60%では正中を越えて大きく振動していた。この原因として周囲腸管の蠕動や併走する動脈からの拍動、呼吸性の血管形態の変化との関連性が示唆された。臨床例では肝硬変症例において正常人と比較して門脈内血流パターンの動的変化に違いを生じるものがみられ、肝右葉と左葉外側区での血流動態の変化があるものと推察された。
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Proceeding of International Society for Magnetic Resonance in Medicine Fourteenth Scientific Meeting and Exhibition suppl
ページ: 629
Procceding of International Society for Magnetic Resonance in Medicine Fourteenth Scientific Meeting and Exhibition suppl,629
日本磁気共鳴医学会誌 25
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ページ: 178-178
Procceding of International Society for Magnetic Resonance in Medicine 'Thirteenth Scientific Meeting and Exhibition suppl,540