研究課題
基盤研究(C)
1.乳癌9症例において、FDG-PETにおけるFDG集積とエストロゲン受容体発現の関連を検討したところ、両者には相関は認めなかった。乳癌におけるFDG集積はエストロゲン受容体の発現の有無よりも、むしろ病変の大きさに関連することが示唆された。2.エストロゲン受容体発現が期待される悪性腫瘍の一つである悪性黒色腫にて、FDG-PETにおけるFDG集積と治療効果の有無を検討した。タモキシフェンを用いた化学療法であるDAC-Tam療法を行った6例にて、治療後の腫瘍の縮小の有無と治療前のFDG-PETでのFDG集積と検討したところ、相関は認めなかった。3.再発乳癌3例において、治療前に行われたFES-PETにおけるFES集積の有無とホルモン治療効果を検討した。また、2例ではFDG-PETにおけるFDG集積の有無との関連も検討した。いずれも原発巣のエストロゲン受容体発現を認め、複数の部位に転移を認める多発転移症例であった。2例では、転移巣ごとでFES集積の有無が異なっていた。また、FES集積の認められなかった骨転移症例では、ホルモン治療後早期に骨髄癌腫症を発症し、予後不良であった。一方すべての転移巣にFES集積を認めた症例ではホルモン治療開始早期に腫瘍マーカーがほぼ正常化した。FDG-PETを行った2例では、いずれもFDG集積を認めたが、1例では予後が不良で、1例ではホルモン療法が著効した。4.治療前に腫瘍内のエストロゲン受容体の発現をFES-PETにて測定できたのは再発乳癌3例のみであったが、ホレモン治療の効果予測や予後を推定する上で、FES-PETは有用な情報を与える可能性が示唆された。一方FDG-PETの所見とホルモン治療の効果予測の相関を示唆する所見は見いだせなかった。ただし、症例数が少なく、今後は症例数を重ねた検討が必要である。
すべて 2007
すべて 学会発表 (2件)