研究課題/領域番号 |
17591282
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
島崎 達也 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 助手 (60264248)
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研究分担者 |
荒木 正健 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 助教授 (80271609)
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キーワード | 癌温熱療法 / 温熱耐性 / マイクロアレイ法 / 培養細胞 / 温熱感受性 / ビタミンK2 |
研究概要 |
癌の温熱療法において、よく治る癌と治らない癌が存在する。癌の温熱療法における問題点は、細胞の温熱耐性獲得にあると考える。我々は、cDNAマイクロアレイによるゲノム解析により温熱処理した細胞に誘導される遺伝子の機能分類を実施し、温熱感受性と遺伝子発現との関連を求める。また、温熱耐性を抑制すると報告されている薬剤Vitamin K_2に対する誘導遺伝子や温熱耐性タンパクと関連する遺伝子産物を求め、温熱耐性獲得のメカニズムを検討する。用いた細胞は、癌細胞(A549細胞、HeLa細胞)と遺伝子バックグラウンドが同じで温熱感受性の異なる細胞(遺伝子欠損細胞のScid細胞、遺伝子修復細胞のヒト8番染色体を導入したScidハイブリッド細胞)である。それぞれの細胞に対する温熱感受性、温熱耐性を求めた。A549細胞の温熱感受性は他の細胞と比較し抵抗性を示し、Scid細胞は最も高感受性を示した。薬剤Vitamin K_2を用いた場合の温熱感受性は、すべての細胞の感受性が高くなったが、特にA549細胞が高感受性を示した。温熱耐性の獲得はすべての細胞で観察することができた。薬剤Vitamin K_2を用いた場合の温熱耐性は、明らかに抑制される傾向を示した。さらに温熱耐性と関連のあるHSP72をWestern blot解析を行い、44℃、15分の熱ショック前処理で細胞内HSP72のタンパク発現は顕著に現れた。薬剤Vitamin K_2で前処置した場合、細胞内のHSP72の発現を抑制することが示唆された。cDNAマイクロアレイ法によるゲノム解析は、温熱耐性がもっとも顕著に発現する条件の決定を行い、次年度実施を予定している。追加研究として、温熱処理を行った細胞のDNA二重鎖切断(DSB)をγH2AXの形成によりDSB解析を行い、細胞の温熱耐性獲得との関連を求める。
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