研究概要 |
我々が考案した動物用定位放射線照射システムは、臨床に準じた精度での実験が可能であることは、平成13年度「定位放射線照射による脳傷害の画像評価の基礎的検討」において報告した。今回はさらにその精度を高めるとともに、画像評価法についても、臨床に準じた情報が得られるよう、撮像法、また定量評価の方法等について検討行った。1.治療計画時の固定具の改良:照射装置と同じ座標系が再現可能な固定具を作成した。また、これによって、精度の向上のみならず、固定具ごと移送が可能であり、精度の担保にも寄与すると考えられた。2.定量的画像評価:腫瘍移植家兎を用いて、FDG-PETによる動物モデルでの定量評価法の最適化を行った。治療後早期の集積低下が、抗腫瘍効果と相関があった。3.精度検証に用いてきたGafchromic filmのモアレアーチファクトの除去について検討行った。定位放射線照射では僅かな距離で大きな線量勾配を形成するため、その検証においてフィルム濃度の不均一性、フィルムスキャン時のアーチファクトは、照射野形状の検証、あるいは辺縁線量の測定の大きな誤差の原因となりかねない。我々は,フィルター法,Air Gap法を考案、いずれもモアレの除去に有効であり、また吸収線量の再現性についてもいずれも2%以内と濃度特性に影響を及ぼさないと考えられた。4.これまでの臨床で行ってきた定位放射線照射の症例で、経過観察中、照射部位の浮腫、あるいは腫瘍壊死に伴う変化以外に、嚢胞変成等の特異な経過を示した症例を解析し、今後解明すべき病理学的変化についての実験モデルの照射方法について検討行った。
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