平成17年度に採択された本研究は、最も難関と考えた治療用X線からの消滅ガンマ線検出の可能性を初年度において確認できた。この方法は国内外で汎用できる方法であるので、平成18年度は粒子線を対象からはずし、X線に集中することとした。当初計画の通り以下の(1)→(8)へと順次研究を進めた。X線については、治療に近い測定条件を設定して、臨床への適用可能性を視野にていれた検討をすることが目標であった。以下の[]は研究経費の執行内容を示す。 (1)所有装置(GSOシンチレータ)と新たに本経費で購入したYAP(Ce)シンチレータによる入射X線強度とプロファイル測定の準備を進めた。[物品費] (2)エレクトロニクスを強化し、効率的で高速なデータ収集を可能にした。[物品費] (3)8月には、ワークショップを開催し、研究経過の討議を進めた。その結論として、新たに導入したYAP(Ce)シンチレータの性能は今回の目的にかなっているので、これを標準の測定素子として採用することとした。 (4)PEV法による測定の実用化を目指して、効率的で信頼できる治療用X線照射による投与線量領域確認のハードとソフトを準備した。[その他] (5)9月〜10月には首都大学東京所有の電子リニアックを借用して、リアルタイムで投与線量分布の測定を実施した。[国内旅費] (6)臨床での治療条件に近い条件も含めた測定を繰り返した。 (7)結果の解析を進めているところであるが、既に本方法により投与線量領域の測定が可能であるとの結論を得ている。 (8)研究を総括し、WC2006(韓国ソウル)の口頭発表(6月)、ASTRO(米国フィラデルフィア)のポスター発表(11月)を行った。[国外旅費]この他準備段階の技術的論文を公表した。 平成19年度においては、本方法の臨床での使用可能性についてポジティブな結論を得る見通しである。
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