研究概要 |
強度変調放射線療法(IMRT)における照射中の体内臓・器移動およびセットアップエラーを頭頸部患者22名について検討し、計画標的体積(PTV)およびリスク臓器に対する適切なマージンを求めた。照射中の体内臓器移動は、肩まで覆うシェルで患者を固定し3分ごと計15分間、骨位置のずれで分析し、照射期間中のセットアップエラーは合計170回の治療ビームでの撮影フィルムで分析した。体内臓器移動およびセットアップエラー変動の標準偏差の平均値はそれぞれ0.7-1.6mmおよび0.3-0.6mmであった。このデータから、我々の施設での適切なPTVマージンおよびリスク臓器マージンは、5mmおよび3mmであった。(Radioth Oncol 78, 2006掲載) IMRTで全頸部照射した上咽頭腫瘍20例を対象とし、その唾液腺障害の程度と再発形式を検討した。17例にシスプラチンを2〜3回同時併用した。肉眼腫瘍体積(GTV)には60-70Gy(中央値68Gy)の照射を行った。2年局所制御率および2年全生存率は、83%および93%であり、T4腫瘍ではそれぞれ60%と86%と不良であった。PTVマージンからのリンパ節再発が2例に見られ、治療計画には十分注意が必要である。対側耳下腺線量は23Gyに軽減でき、その結果照射後1〜2年で2/3の症例でGrade 0,1の唾液腺障害となった。(第25回ヨーロッパ放射線腫瘍学会で発表) 頸部食道癌に対するIMRTブースト併用の化学放射線療法の治療成績を検討した。15例のT3,4の進行頸部食道癌に根治的な化学放射線療法を行い、このうち11例に36-40Gyの通常照射後、IMRT追加照射20-24Gyを行った。IMRTによる追加照射により脊髄線量を合計46Gy以下にし、GTVには60Gyまで照射できた。その結果、2年および5年全生存率は48%および32%と良好な成績であった。(第48回米国放射線腫瘍学会で発表)
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