研究概要 |
1.^<18>F-FDG PETにおける腫瘍集積性と乳癌細胞増殖動態の比較 対象は初発乳癌患者である。対象患者数は約118名で,対象患者の範疇に入るのは手術,化学療法,放射線治療等の治療適応のある患者であった。また,対象患者の範疇に入るが糖尿病に罹患していた場合は血糖値200mg/dl以下にコントロールされている患者とした。対象患者全てに^<18>F-FDGPETを施行した。放射線医薬品は^<18>F-FDGを用いた。投与量は0.12mCi/kgで行い,PETの機種はAllegro(Philps/ADAC)であり,GSO-PETである。FDG投与後1時間安静とし,撮像を開始した。撮像方法は,全身を撮像し,我々で開発したPETマンモ用治具を用いて,腹臥位(supine position:SP)と仰臥位(prone position:PP)にて撮像した。全身像とPPと比較し,前者よりPPで8.8%乳癌を指摘できた。結論として,乳癌のFDG-PETには,PPの追加が必要であった。またPETで再発または転移が疑われた症例では,PET以外にCTやMRI等の他の査でも再発や転移の評価を行い,病変の存在が確定した後に再発や転移症例に関してbiopsyが可能であればできるだけ施行した。また,初発乳癌全例で手術を施行した場合,得られた摘出標本の癌組織におけるERK MAPKのリン酸化を免疫染色で検討した。すなわち,リン酸化したERK MAPKを特異的に認識する抗体を用い免疫染色をおこなった。細胞質が染色された癌細胞をERK MAPK陽性細胞とし,癌細胞の40%以上陽性を示した症例をERK MAPK陽性とした。免疫染色により得られた乳癌細胞におけるERK MAPKのリン酸化,すなわち,乳癌の細胞増殖動態と^<18>F-FDG PETの解析データとの比較検討を開始した。118例中の73例に解析を行ったその結果,MAPK(+)群SUVmax4.02±2.76vs.MAPK(-)SUVmax3.87±2.70(P=0.25)には有意差を認めなかった。ER,PgR,Her2のいずれとも有意差はなかった。乳癌に関するFDGの取り込みと細胞増殖との関係は,免疫染色の抗体の再検討を行う必要があると結論づけられた。
|