研究課題
基盤研究(C)
乳房温存術後の放射線治療によって起こる照射野外肺臓炎(肺病変)についての検討である。この肺臓炎は非常に稀に起こるが、臨床的には軽視できないものであるため、まず、全国の主要施設に対して、発生状況に関するアンケート調査を行った。照射野外肺臓炎の症例を抽出して、患者背景、臨床経過、照射情報を詳細に検討し、発生の原因と経過の問題点について検討考察した。次に画像的特徴をみつけるために、発症時の胸部CTにおける画像的特徴、胸部単純写真における経時的変化について検討した。また、症例の長期経過を調査し、予後についても検討した。今回のアンケート調査では、明瞭な原因は解明されなかったが、免疫学的機序、ホルモン剤等の補助療法の関係が考えたれた。放射線治療直接の原因ではないが、二次的に生じるものの1つと思われた。血清生化学検査にて予測が出来るか否かについて検討したが、一般的に用いられるKL-6は今回の検討では指標にはならず、C3、C4等についても予測因子や予後因子にはならなかった。発症頻度は約2%、発症時期は、放射線治療後3~12か月(平均5.6か月)に発症し、多くは6か月以内に起こる。発症後1~4か月程度(平均1.9か月)胸部単純写真上の改善がみられ、発症後5~12か月(平均8.5か月)で胸部CT上消失する。治療は、ステロイド使用により早い時期に改善するが、漸減時に再燃するため、ステロイドの使用は慎重にすべきであると思われる。予後は良好であるため、照射野外肺臓炎(肺病変)で死亡することはない。
すべて 2009 2008 2007 2006
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (2件)
臨床と研究 86
ページ: 55-59
Int J Radiat Oncol Phys 71(1)
ページ: 123-31