研究概要 |
本研究の目的は、磁気共鳴イメージング装置(Magnetic Resonance Imaging, MRI)、及び光トポグラフィー装置を組み合わせることにより、脳賦活時の脳血流量、脳酸素代謝量、脳血液量を高空間分解能・高時間分解能で同時かつ定量的に測定可能なシステムを開発し、これを大脳生理学及び臨床医学に応用することである。 過去数年間にわたる様々な実験を通し、脳血流量及び脳酸素代謝量を求める方法論に関してはかなり確立してきた。当面の課題として、(a)脳血液量をどのような方法で求めるか、(b)同時測定を行う場合に異なるモダリティー間のデータをいかに精度良く統合するか、(c)個々の測定値をいかに安定的に取得できるようにするかを計画している。 平成17年度は、機能的MRIを用いた脳血流量及び脳酸素代謝量の測定実験、VASO法を用いた脳血液量の測定実験、MRI装置と光トポグラフィー装置と組み合わせた脳血液量の測定実験を個別に行い、各測定法の妥当性を検討し、さらに手技の改良を行うことを目標においた。 実際には、3TMRIのシステムの立ち上げ、血液酸素化レベル測定シーケンス(BOLD法)及び脳血流量測定シーケンス(FAIR法)と両者の同時収集シーケンス(QUIPSS)の確立、さらに視覚刺激装置及び二酸化炭素負荷装置のセットアップとそのモニタリング方法を検証し、その上でVASO法による脳血流量測定法の安定的収集法を約半年かけて行った。後半は、BOLD法及びVASO法による生理学的負荷(視覚刺激)及び二酸化炭素負荷時の時間応答曲線を安定的に収集することにつとめた。ほぼセットアップが終わり18年度からはボランティアを使いデータ収集を行っていきたいと考えている。
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