研究概要 |
本研究の目的は、磁気共鳴イメージング装置(Magnetic Resonance Imaging, MRI)、及び光トポグラフィー装置を組み合わせることにより、脳賦活時の脳血流量、脳酸素代謝量、脳血液量を高空間分解能・高時間分解能で同時かつ定量的に測定可能なシステムを開発し、これを大脳生理学及び臨床医学に応用することである。 平成17年度〜平成18年度にかけて実施した様々な実験を通し、脳血流量及び脳酸素代謝量を求める方法論に関してはほぼ確立してきた。さらに残る課題として、(a)脳血液量をいかに精度よく測定するか、(b)同時測定を行う場合に異なるモダリティー間のデータ統合の精度の一層の向上、(c)個々の測定値の安定的な取得を目標に平成18年度〜平成19年度にかけて行っている。 平成18年度は、平成17年度に引き続き機能的MRIを用いた脳血流量及び脳酸素代謝量の測定実験を実施した。特にVASO法を用いた脳血液量の測定に関して平成18年度に実施した種々の実験にて測定方法を確立した。具体的には、3TMRIのシステムの安定的な稼働、血液酸素化レベル測定シーケンス(BOLD法)及び脳血流量測定シーケンス(FAIR法)と両者の同時収集シーケンス(QUIPSS)の開発、さらに視覚刺激装置及び二酸化炭素負荷装置の安定的なモニタリングを確保しつつ、VASO法による脳血流量測定法の収集法の開発及び改良を継続して行った。平成18年度前半は、BOLD法及びVASO法による生理学的負荷(視覚刺激)及び二酸化炭素負荷時の時間応答曲線の安定的に収集に関する実験をボランティアを用いて施行し、後半は、これに加えて拡散強調画像によって脳の活動を計測する手法に関しても検討を行ってきた。今年度は、最終年度に当たるためこれまでの成果を論文化して発表していく予定である。
|